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マメ知識

情報システムに関連する豆知識や、学習ポイント、授業のこぼれ話などを紹介します。

イーサネットとインターネット

昔、真空 (空間に何もない) という概念がなかったころ、科学者(哲学者)たちは宇宙にはエーテル (ether) という物質が満ちていて、それが光などを送り届けるのだと信じていました。 いま世界中のコンピュータたちは、この名前を取ったイーサネット (Ethernet)というもので結ばれています。

コンピュータとコンピュータを接続する場合、原理的には2本の電線があればLANを組めることになっています。実際、インターネットの黎明期の1970年代には、このような電線で数百m~数km離れたコンピュータを接続しただけのネットワークでインターネットはスタートしました。

その後、データを音に変換して電話回線にのせ、電話のあるところなら電話がつながっている間だけネットワークが使える、という原理のネットワークが発達しました。お父さんが若かったころは、日本でも一部で『パソコン通信』というものが行なわれていましたが、これはホストコンピュータ1台に電話経由で接続された数台~数百台のPCが(一時的に)接続される、というもので、インターネットとは異なる閉じたネット(メンバー間のみのやり取りに限られる) でした。

ちなみに、今では電話のほうが音声をデータに変換して通信するデータ通信機に変わってしまったのですが、『使うときだけ接続するデータ通信』という古典的な方式は、携帯電話のi-modeなどで復活をとげることになりました。ただし携帯電話のネットは携帯電話会社のサーバの地点で必要なときだけインターネットとデータをやり取りするので、パソコン通信よりはオープンなやりとりができるようになっています。

その後、テレビのケーブルを太くしたようなもので比較的高速なLANを組む技術が、XEROXの研究所で発明されました。これがイーサネットです。

現在はご家庭でもLANを組む場合、あるいはインターネットプロバイダから貸与されたデータ通信の送受信機にPCを接続する場合、電話のモジュラージャックをちょっと太くしたようなコネクタを挿すと思います。これもイーサネットの一種です。

最近は、電波でイーサネットのデータをやり取りする方式(無線LANやWLAN)もあります。これだとPCの裏側や部屋の間にケーブルが這わなくて良いので便利ですね。 さらにハードディスク/DVDレコーダとテレビの間もこの無線イーサネットで結んでしまおう、などという製品もあらわれています。 最近の家電はコンピュータ化していますから、どんどんイーサネットで接続されるのですね。

世界にひとつしかないインターネット―インターネットの成り立ち

情報システムを成り立たせるために、世界中すべて(言いすぎでしょうか)のコンピュータが接続されているインターネット。インターネットは世界にひとつしかありません。

もともとインターネットというのは、大学が2台のコンピュータを1本の線で接続するところからはじまりました。このときの研究者は非常に頭が良くて、将来は世界中すべてのコンピュータが接続されるかもしれない、と考え、コンピュータを識別するアドレス (IPアドレスという整数です。住所のようなものです) として43億もの番号を割り当てました。

ところがその後のインターネットの発展はご存知のとおり。この研究者が予想したよりもはるかに多くのコンピュータがネットワーク上に存在することになったため (それと実は住所と同じで存在しない無駄な番号が生じるため)、43億では番号が足りなくなってきてしまいました。

さてインターネットというのは、LANとLANが無数に組み合わさって構成されています。あなたのご家庭にも2台以上のコンピュータがあれば、ケーブルで接続されていませんか? お父さんの会社にはもちろんLANというのがあって室内・部署内・会社内の複数のコンピュータがケーブルで接続されています。信じられないような話ですが、LANとLANがバケツリレー式にあなたのデータを適切な方向に中継してくれて、地球の裏側までも一瞬でデータが届けられるのです。

インターネットは世界にひとつ、と最初に書きましたが、あなたがLANを組んで、「ふっふっふ、第2インターネットを作ってやったぜ」と思っても、LANの中のどこかでインターネットに接続してしまえばそれはもうインターネットの一部になります。だからインターネットは世界にひとつといえるのです。

情報システムに欠かせないインターネット---コンピュータをつなぐ

今日の情報システムには、ネットワーク、特にインターネットは欠かせないものとなっています。みなさんがご家庭や学校で使うPC (パーソナル = 個人のコンピュータですね) でさえ、他のコンピュータと接続し通信することで、サービスを提供しています。

サービスを提供するコンピュータは一般にサーバとよばれていますが、サーバに接続するというのは何も特別なことではありません。PCを立ち上げてインターネット経由で新聞社のwebページに接続して新聞を読むとき、新聞社のwebサーバが最新のニュースをwebページ化して送り出してくれています。

本屋さんのwebでカタログを選んでクレジットカードで代金を払って宅急便で届けられるような場合、あなたのPCは書店のwebサーバと接続してカタログのデータを送ってもらい、注文のデータを送り出します。書店のサーバはあなたから送られたデータをカード会社に回送し、引き換えに代金を銀行に振り込んでもらいます。このときカード会社と銀行のサーバが通信しています。倉庫から本が発送されると、書店のサーバは宅配便のサーバにあなたの住所のデータを送るかもしれません。あなたは注文した本がどこにあるか、PCと宅配便のサーバを接続して時々刻々確かめることができます。

このように、人間と人間・企業と企業の通信手段として、昔は電話なり手紙なりが使われていたその代わりとして、今日ではお互い(人間・会社)が所有するコンピュータが接続され『コンピュータ同士が会話』することで、そのご主人様たる人間や企業が通信できるようになりました。ここで活躍するのが、インターネットです。

情報セキュリティの科学 ―膏薬(こうやく)貼りか? 根本解決か?―

パソコンを使っていると、自分の暗証番号や個人情報がインターネットから他に漏れることに気を遣います。知らずに漏れるのは、ウィルスやフィッシング・ソフトにパソコンが感染するからで、対策としてウィルス駆除ソフトやOSをしょっちゅうバージョンアップすることになります。

なぜこんなことになるかと言うと、OSに根本解決の技術が導入されず、対策ソフトがその場限りの対応や特定のウィルスを見つけることに終始しているからです。使っていたソフトを継続して使う互換性のため、やむを得ない面もありますが、悪化の一途をたどっています。製造サイドから、新たなOSやパソコンのハードウェアを根本的に見直す計画もあり実施されつつありますが、従来対策となるだけで、新たなウィルスの対策には至らないと思われます。

情報の安全性を扱う研究分野に情報セキュリティがあります。情報セキュリティの理論研究では、知識を漏らさない「ゼロ知識*」という学問体系ができています。

ここでは、「ゼロ知識」を成立させる興味深い条件を紹介しましょう。知識が漏れない定義は、知識の無い時とある時で、相手に伝える情報に区別がつかないことです。これを、ゼロ知識性と言います。知識が無い時と区別がつかないのだから、知識は漏れないとするわけです。回りくどいですが、知識が漏れるということを、あれこれ説明するより明確です。

知識でなく、知能があるかどうかを区別するテストに、チューリング・テストがあります。おそらく、このテストからゼロ知識性を思いついたのでしょう。チューリング・テストでは、別室と文字で対話することにして、(知能があるとされる)人との会話と区別ができなければ、別室には少なくとも知能ある存在がそこにいると認識します。

鉄腕アトムは、ほとんど人間と同じように考え会話し行動します。頭の格好がいびつだったり百万馬力だったり、普通の人間の子供とは違った面も持っています。しかし、言われたままに動くロボットではなく、ハートのある暖かくて頼りになるので、チューリング・テストには、きっと合格するでしょう。また、そのアトムの口が堅いなら、漏らしてはいけない知識を持っていても、知識がない時と同じ様に振る舞うと思いませんか。

*ゼロ知識: 正確には「ゼロ知識対話証明」と言います。